抄録
砕石工場から排出される脱水ケーキは,ほぼ未利用のまま現場埋戻しや最終処分場で処理されている.そこで本論文では,砕石脱水ケーキをコンクリート用粗骨材として再資源化することに着目し,粗骨材作製における溶融条件(加熱温度・時間)を作業時間や手間を要する試行錯誤の方法で決定するのではなく,砕石脱水ケーキの化学組成から決定する方法を提案した.具体的には,複数の砕石脱水ケーキを対象に造粒物を作製し,加熱条件を種々変更した電気炉高温加熱実験を行い,造粒物の性能を評価した.そして,ニューラルネットワークの誤差逆伝播法を用いて,砕石脱水ケーキの化学組成からコンクリート用粗骨材の性能を満足する溶融温度(加熱時間30 minに対して)を決定するモデルを構築したところ,推定値は実測値と良い整合性を示すことが確認された.