2019 年 75 巻 3 号 p. 169-183
本論文では,目視による観測情報に基づき各変状過程毎の鉄筋腐食速度をベイズ推計した上で,不確実性を考慮したコンクリート表面の剥離剥落面積の予測手法を提案した.提案手法により,塩化物イオン濃度,中性化速度が得られない場合でも順解析結果に対して,ひび割れ発生前後の鉄筋腐食速度を-35~+35%程度の精度で推計でき,経年100年時の剥離剥落面積を-5~+15%程度の精度で予測できることを示した.供用45年の実構造物へ適用した結果,複合劣化等の標準的な腐食速度の30~70%であったこと,ひび割れ発生前後で腐食速度が2.4倍程度にまで増加したことを示した.劣化予測結果に基づき維持管理費用を最小とする断面修復範囲を試算することで,目視できる剥離剥落範囲のみの修繕時と比較して40%程度の経費節減効果を得た.