2019 年 75 巻 4 号 p. 239-250
コンクリート細孔溶液は高pHであることからコンクリート構造物中の鉄筋は不動態状態を維持している.しかし,海水等の塩化物イオンによりコンクリート中の鉄筋の不動態皮膜は破壊されることが知られている.既往の研究で,不動態皮膜破壊時の塩化物イオン濃度と水酸化物イオン濃度の比によって不動態皮膜破壊の条件は整理されているが,この値は各研究者によって幅を有する.本論文で欠陥格子の動力学に基づいて不動態皮膜破壊の理論的モデルを構築した結果,不動態皮膜の破壊条件は腐食前の鉄筋電位に影響されることが示唆された.また,実験結果から,不動態皮膜が破壊する際の塩化物イオン濃度と水酸化物イオン濃度の比と腐食前の鉄筋電位は指数関数関係にあることが判明した.