2020 年 76 巻 2 号 p. 144-157
ドリル掘削粉の分析に基づいて,コンクリートのスケーリング抵抗性を超微破壊かつ短期間で評価する方法を確立するための基礎研究として,セメントペーストとモルタルを対象に供試体のスケーリング抵抗性と掘削粉の空隙量の関係を検討した.空隙量は水銀圧入ポロシメトリー(MIP)により測定した.検討の結果,セメントペーストについては,水セメント比や連行空気量によらず,掘削粉の空隙量が0.20~0.21mL/mLを上回るとスケーリング抵抗性が急減する関係が得られた.さらにモルタルについては,掘削粉に対し,MIPに加えて加熱処理と酸溶解処理を施すことで,セメントペースト部分の空隙量を評価する方法を提案した.これにより評価した空隙量が0.18~0.19mL/mLを上回るとモルタル供試体のスケーリング抵抗性が急減する関係が見られた.