繰返し荷重下における繊維の引抜き抵抗挙動の評価を目的として,ポリプロピレン(PP)繊維と鋼繊維を対象とした試験を行った.PP繊維は繰返し荷重を受けることで繊維表面が損傷し破断するものや,マトリクスに割裂ひび割れが生じ,引抜き抵抗力が低下するものが確認された.鋼繊維では繰返し載荷における除荷過程と再載荷過程において,引張方向及び圧縮方向の双方向において摩擦付着力による抵抗挙動が確認され,繰返し回数の増加に伴う付着力の低下は僅かであった.
通信用マンホールの劣化の進行に影響するマンホール内の温湿度環境と結露の発生を精密に予測するために,マンホールと周辺地盤の統合熱伝導解析を行った.マンホールの埋設条件とその地域の環境条件から,全国の様々な条件下におけるマンホール内の温度の経時変化を精度よく予測できることが確認された.温度解析結果に基づきマンホール内の結露の発生予測を行い,結露水の吸水を考慮したコンクリート中の水分移動解析によりマンホールコンクリート中の含水状態の予測を行った.マンホール内の空気とマンホール壁の温度差より,マンホール内は冬季に結露が生じやすいこと,その結果冬季にコンクリートが高含水状態となりコンクリート中の鉄筋腐食が促進されることが示唆された.
鉄筋コンクリート製通信用マンホールを効率的に維持管理するために,マンホールのコンクリート中の鉄筋の腐食予測法を構築した.コンクリート中の水分状態,温度,酸素の供給を考慮した鉄筋腐食予測モデルを新たに定式化し,地盤とマンホールの統合熱伝導解析法により予測したマンホールのコンクリート中の含水状態から,全国の様々な条件下に埋設された通信用マンホールの鉄筋腐食の進行予測を行った.その結果,地域による気候の違いを考慮しつつ全国のマンホールの鉄筋腐食進行の傾向を概ね再現できることを示した.
本研究では,ロッド状の炭素繊維補強材(CFRP)をコンクリート表層内に埋設して補強するNear Surface Mounted(NSM)工法に着目した.張出RC床版の負曲げ補強にNSM工法を用いる場合,死荷重の増加や路面高の変更がほとんどなく,特に高弾性タイプのCFRPロッドでは,張出RC床版のたわみ抑制や鉄筋応力の緩和にも有効と考えられる.高弾性CFRPロッドは引抜成形法で成形されるため,その表面は滑らかであり,コンクリートとの付着性能が懸念される.そこで本研究では,機械的ずれ止めとしてガラス繊維(GFRP)リブを装着した高弾性CFRPロッドを考案し,リブの取付方法やリブ寸法の効果を調べるため引抜き試験を実施した.その結果,最適なGFRPリブ寸法(1.5mm厚×75mm長)を定めた.
本研究は,同一の薄板モルタル供試体を用いて,日本各地の101か所において暴露試験を行い,飛来塩分環境を評価した.暴露供試体への塩化物イオン浸透量をコンクリートの表面塩化物イオン濃度に換算し,標高,風向,波エネルギーの影響を考慮して離岸距離を補正した,「補正距離」によって,地域によらず一律に表面塩化物イオン濃度を評価できる推定式を提案した.
設計段階におけるコンクリートの乾燥収縮率は予測式によって求められることが多い.現行の土木学会の予測式には骨材の品質の影響を表す係数αが導入されており,その予測式を用いた計算値は実測値に対して概ね±50%のばらつきとされる.骨材の品質の影響を表す係数αは4~6とされているが,骨材種類などによって具体的な数値を定めるようになっていない.本研究では,JIS規格外の品質も含めた骨材を用いたコンクリートのデータを用いて,骨材の品質の影響を表す係数αについて分析した.様々な品質の骨材を用いたコンクリートの乾燥収縮率を予測可能とするため,土木学会式をモルタルと粗骨材に含まれる水分量の関数に修正するとともに,粗骨材の品質の影響を表す係数α’の算出式を提案した.
補修用接着剤の接着面における材料特性の変化は,接着耐久性評価において重要である.しかし,これまで接着剤表面部分の強度変化を直接評価することが難しかった.そこで,表面・界面切削分析装置を用い,補修用接着剤で実績の多いエポキシ樹脂の劣化に伴う表面の強度変化に関する分析を行った.本装置を用いることで,硬化剤種別により吸水と乾燥による影響の受け方が変わることが分かった.また,アルカリ溶液による促進劣化試験では,時間経過に伴う劣化形態の変化が明らかとなった.さらに,劣化はアルカリによるものが支配的ではあるが,試験初期においては水の影響も受けやすいことが確認できた.本装置を用いた接着剤表面の微小領域における機械的特性の評価は,劣化の進行を定量化でき,接着剤の耐久性の評価に役立つものと考える.
コンクリートダムでは,セメントの水和熱に起因して発生する温度応力の制御が重要な課題であり,古くから種々の研究が行われてきた.とりわけ,近年の解析手法の発展により,設計・施工段階における温度応力については,詳細な検討が行えるまでになった.一方,単位結合材量の少ないダムコンクリートにおいても,セメントの種類によっては一般のマスコンクリートと同様に無視できない自己収縮ひずみが生じることが明らかとなっている.本研究では,重力式コンクリートダムの施工時の温度応力における自己収縮ひずみの影響に関し,幾つかのダム用セメントを用いた場合について解析的に検討を行った.その結果,自己収縮ひずみがダム施工中に発生するひび割れの要因となることが明らかとなった.
ドリル掘削粉の分析に基づいて,コンクリートのスケーリング抵抗性を超微破壊かつ短期間で評価する方法を確立するための基礎研究として,セメントペーストとモルタルを対象に供試体のスケーリング抵抗性と掘削粉の空隙量の関係を検討した.空隙量は水銀圧入ポロシメトリー(MIP)により測定した.検討の結果,セメントペーストについては,水セメント比や連行空気量によらず,掘削粉の空隙量が0.20~0.21mL/mLを上回るとスケーリング抵抗性が急減する関係が得られた.さらにモルタルについては,掘削粉に対し,MIPに加えて加熱処理と酸溶解処理を施すことで,セメントペースト部分の空隙量を評価する方法を提案した.これにより評価した空隙量が0.18~0.19mL/mLを上回るとモルタル供試体のスケーリング抵抗性が急減する関係が見られた.
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