2020 年 76 巻 4 号 p. 283-292
広帯域超音波法(WUT)は,比較的厚い部材にも適用できるため,ポストテンションPC橋のグラウト充填探査にしばしば用いられる.WUTは反射波を分析することでグラウト内の空隙を検出する方法である.分析する反射波には部材端面からの反射波も含まれ,その影響は無視できない.本研究では,WUTの精度向上を目的に,シースおよび端面からの反射波の影響について検討した.その基礎的実験として,A) 未充填シース・B) グラウト充填シースを埋設した240mm厚のコンクリート版,C) 240mm厚・D) 135mm厚のプレーンコンクリート版の4種類を準備し,WUTによるグラウト充填探査を行った.本実験により,シース反射波に加えて端面反射波を評価することで,グラウト充填判定の精度向上ができることを示した.