2022 年 78 巻 1 号 p. 30-45
せん断圧縮破壊に至るせん断補強筋を持たないRCはりのせん断抵抗機構とせん断疲労破壊機構の解明を目的として静的および疲労載荷試験を行った.サンプリングモアレ法による画像解析を用いて斜めひび割れ幅とずれ量を得ることで,既往のせん断伝達モデルによって骨材の噛み合わせによるせん断抵抗成分を算出するとともに,骨材の噛み合わせとコンクリート圧縮部によるせん断抵抗成分の分担割合の変化を示した.その結果,低サイクル疲労において,繰返し回数が増加しても骨材の噛み合わせによるせん断抵抗の損失は生じておらず,圧縮応力とせん断応力によるコンクリート圧縮部の疲労破壊がRCはりのせん断圧縮破壊を決定づけていると考えられることを実験的に明らかにした.