インレットは感潮狭口と呼ばれる沿岸域の地形である.わが国の代表的なインレットとしては,浜名湖やサロマ湖がある.これらのインレットは,外海側からの波や場合によっては津波の作用,あるいは内海側の内水量増加(例えば,雪解け水など)により,外海と内海を分断する砂嘴や砂州の一部が切断された結果形成される場合が多い.外洋に面しかつ砂質材料で形成された一般的なインレットでは,潮汐に伴う海水の流入・流出が可能であるため,潮汐に伴う流れおよび底質移動と,入射波浪に伴う沿岸流と底質移動(沿岸漂砂)の相互作用で常に変形している.本論文では,インレットを適切に維持・利用するためには,インレットの安定な断面形状に関する定式化が必要と考え,世界中のどこでも第一近似として利用できる汎用A-P式(タイダルプリズムと感潮狭口断面積(流積)の関係)について考察する.次いで,人工化したインレットが増加し,海岸管理上の問題ともなっているので,インレットを人工化した場合のし,A-P関係(タイダルプリズムと感潮狭口断面積(流積)の関係)について考察することにした.