抄録
海域施設の耐波設計技術が着実に向上している近年においても,海岸・港湾施設の高波被害に関する報告は後を絶たない.そこで本稿では,近年の大規模な波浪災害のうち,2004年の台風16,18,23号による高波,及び2006年の久慈港,2007年の湘南海岸,2008年の富山湾沿岸に来襲した長周期うねりを取り上げ,今後の防災ならびに施設設計に活用されることを期待して,それぞれの海岸・港湾被害の特徴とその被災パターンの分類,及び波浪特性を踏まえたそれらの類型化を試みた.この結果,波浪特性の観点からは,波高が設計波を超える場合には確率波の見直しや反射波の影響,周期が設計波を超える場合には偶発性や海底地形による波浪変形,などを考慮した被害予測や施設設計の必要性が明らかとなった.