土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.27(特集)
閉鎖性水域における環境改善技術について ~ベストプラクティスを探して~
古川 恵太明田 定満鈴木 高二朗木村 克俊五明 美智男
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2011 年 67 巻 2 号 p. I_19-I_24

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抄録

 これまで港湾・漁港等においては,閉鎖性水域の環境改善に向けて多くの取り組みが行われてきた.しかし,依然として湾内の水質は多くの海域で環境基準の達成率が50-80%で横ばい傾向にあり,貧酸素水塊の発生や生物の大量死,ノリ貝・底魚などを中心とする漁獲量の減少傾向は多くの閉鎖性水域で共通した問題となっている.
環境改善に取り組み始めた1970年代においては,その中心は水質改善,生物生息(魚礁),景観であったが,その後,干潟造成を含む底質改善,負荷削減,新たな生物生息場の創出などに展開してきた.こうした環境改善技術の変遷をレビューし,その課題を明らかにするとともに、今後求められる環境改善と、それに寄与する新しい技術の開発について検討することを目標に特別セッション「閉鎖性海域における環境改善技術について」が企画された.閉鎖性水域の環境改善について,「どこで、なにを、なぜ(だれのために)」その技術を必要としているのか,「いつ、だれが、どんなふうに」環境改善技術の開発を目指すのかについて,とりまとめることを目的としている.
本セッションの1年目は第35回海洋開発シンポジウムにおいて,4つの話題提供とそれに引き続くパネル討論という形で行われ,閉鎖性海域における環境改善技術の課題や問題設定の体系化を目指した.
2年目となる本年の特別セッション開催にあたり,前回の議論で指摘された社会の変化についてのレビュー(2章),1年目の議論の振り返り(3章),2年目の提供話題の位置づけと討論議題の提示(4章)を本セッションのオーガナイザーおよびコーディネイター共著で準備することとした.

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© 2011 公益社団法人 土木学会
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