抄録
本研究では,伏木富山港を対象としたブシネスクモデルによる波浪変形計算において,入射スペクトルを単一とみなすのではなく,造波境界上での方向スペクトルの空間分布を考慮した造波を行い,入射境界から対象施設に至るまでの波浪場をより精緻に再現することを試みた.この結果,2008年2月の寄り回り波,2004年10月の台風23号による高波ともに,NOWPHAS波浪観測地点で得られた波高頻度分布特性を良く再現するとともに,沖防波堤法線位置でのH1/3,H1/20の出現特性から,寄り回り波来襲時の防波堤ケーソンの滑動状況をより明確に説明できることを示した.さらに,このときみられた波高頻度分布の平滑化は,一様でない複数の方向スペクトルに対する不規則波を造波することにより再現されることを明らかにした.