抄録
近年の計算機性能の発展により,数値波動水路CADMAS-SURFにおいては不規則波や乱流モデルを使用した計算が実務で行えるようになってきた.不規則波入力法には藤原(2008)の水平流速補正法が採用されているが,質量輸送量と補正量の収支が一致しないという問題があった.これに対し,関本・髙橋(2010)は水平流速分布を鉛直一様とすることで計算時間内一定の補正量を与えているが,質量輸送量は水位変動に応じて時間変動するため,補正方法をさらに改良する必要がある.また,乱流モデルには高Re型k-ε2方程式モデルが採用されているものの,適用事例は数例と少なく,適用性については未だ不明点が多い.本研究では,不規則波入力時の水平流速補正法を改良するとともに,乱流モデルを適用した計算に考察を加えた.