抄録
沖縄本島の中城湾港泡瀬地区において、熱帯性海草類の生育場を創出する藻場造成の実証実験を実施した。過去に実施した移植試験では、場所によっては移植後に造成藻場の面積減少が確認され、その要因はその場の環境条件であると考えられた。そのため、本研究は恒久的に維持される藻場を造成する手法の確立を目的に実施した。恒久的に維持される藻場の造成にあたっては、その場の海草生育制限要因の除去が必要という考えに基づき、実施場所の海草の生育制限要因と考えられた砂層厚の不足と高波浪を取り除くために、低天端堤(天端が干出する潜堤)を設置して波浪を制御し、その背後に海草を根を含む底質ごと移植した。その結果、造成した藻場は造成から約3年経過後でも面積が拡大しているのが確認され、今回実施した藻場造成手法の実現性が立証された。