抄録
本論文は,主成分が炭酸カルシウム(CaCO3)で化学的, 物理的に安定した貝殻を天然の砂材や礫材の土質代替材として,キャピラリーバリアに有効利用することを目的に,これまで着目されていない破砕した貝殻の保水性について検討し,水分特性曲線と貝殻の粒径および垂直応力(以後,拘束圧と記す)との関係について明らかにする.また,メスシリンダー(以後,容器と記す)に砂材と礫材,砂材と破砕した貝殻で構成する2種類の土層を空中落下により作製し,その後に打撃による振動を容器に与えて,砂材が下部の礫層または破砕した貝殻層に混入する状況を観察する.観察の様子から破砕した貝殻を有効活用することで,砂材が混入し難い長期的に安定したキャピラリーバリアを構築できる可能性について実験的に検証する.