抄録
社会インフラが十分に行き渡っていない途上国において防災施策を推進する場合,どの防災戦略を優先的に選択すべきかを事前に決定することは,効果的な事業の実施において極めて重要なステップとなる.本研究では,インドネシアのパチタン市の4つの村を対象に現地調査を実施し,SWOT分析を用いて効果的な防災戦略の探索を試みた.分析結果より,当該地域の防災戦略としてRapid Growth Strategyが最も相応しいことを示すとともに,その具体的な取り組み方針として公的施設の一時津波避難場所としての利活用と,都市周辺地域の街路ネットワークの確保が重要であることを示した.さらに,その方針に沿って,現状の避難施設の配置や避難路の確保状況が避難可能範囲に及ぼす影響を評価した.