抄録
静穏時の海は海水浴などのレクリエーションに適しているが,利用者が居ない荒天時と比べて溺水事故が発生する可能性は相対的に大きくなる.本研究は,溺水事故防止の観点から静穏時の離岸流発生メカニズムを明らかにすることを目的とし,静岡県相良海岸における2週間の波・流れの観測結果にサーファーやライフセーバーの知見を加えて,静穏時の離岸流の発生特性を分析したものである.その結果,波高が小さく比較的静穏な条件であっても,防波堤に沿って幅10m以上の速い離岸流が突発的発生することが分かった.また風と離岸流の発生を検討し,卓越風向の風下側に開けている相良海岸の地形的な条件と風況が離岸流の発生に関係している可能性を示した.