抄録
直立消波ケーソンは低反射構造であり,その代表としてスリットケーソンが広く用いられている.この波力算定には一般的に合田の算定式が用いられているが,前面壁の形状が特殊な場合,実験的な検証が必要であり,多くの研究が実施されてきている.高橋らの研究(1991)は,波の位相差とマウンドの影響を考慮し,部材別の波力補正係数を実験的に推定する方法を提案している.この際,代表的な位相は押し波時に3つ定義されており,波力が最も厳しい位相に対して安定性を検討する手法が提案されている.今回の研究では直立消波ケーソンの前面壁は複雑な形状であり,このような堤体について,高橋らの研究と同様に,波の位相に着目して波力を推定する方法の適用性および部材別の波力特性について検討した.