抄録
合理的な設計という観点から,ケーソン式混成堤の滑動破壊に対して,滑動量を考慮した設計法が提案され,実務に使われ始めている.滑動量を算定する際の高波の継続時間は,本来確率変数であるが 2時間の確定値として扱われている例が多く,日本海側の高波の継続時間は太平洋側に比べて一般に長い言うこれまでの知見と異なっている.本研究では,全国の事例に適用できる高波の継続時間を考慮したケーソン式混成堤の許容滑動量に対する破壊確率の算定法を提案した.また,設計条件に偏りがない全国の32事例を用いて検討した結果,継続時間を2時間の確定値とした場合に比べて,提案モデルでは滑動破壊確率は1.5倍程度大きくなり,提案モデルによる滑動破壊確率の全国平均値は,実構造物の被災確率とほぼ整合することを示した.