抄録
気象官署で取得された風観測資料(SDP風資料)を利用して,内湾・内海の海上風分布を合理的に評価しうる著者らの方法を用いて東京湾,伊勢湾,瀬戸内海における海上風分布を推定した.この海上風分布資料から推定された最長1911~2005年の間の年最大風速資料に対する解析に基づいて,期間最大風速や100年確率風速を求めた.これらのうち3海域における100年確率風速は大略35m/sから45m/sあるいは局所的には45m/s以上と推測される.3海域の中でも地形の複雑な瀬戸内海では小海域への強い依存性を示す.変動係数は5~12%の範囲にある.また,100年弱の資料期間における期間最大風速の再現期間は設定した再現期間の100年におおむね近い値を与えた.