抄録
潮汐流が弱く平均流が卓越し,副振動による1時間程度の短周期振動流が頻発する舞鶴湾において,数値シミュレーションによる流況再現を試みる.開境界におよそ1~2時間の複数の周期を有する水位変動を与えることで,流速観測値にみられるような短周期振動流を表現することができることを示す.
さらに,海域を浮遊する物質を想定した移流・拡散シミュレーションをおこない,副振動を考慮する場合と考慮しない場合の物質の広がりの違いについて検討する.その結果,副振動による振動流が弱い湾奥部では両者に違いがないものの,振動流の強い湾口部において,物質の分布に違いが生じることを示す.