抄録
瀬戸内各府県では,水産資源生産力向上や環境保全を目的にアマモ場造成事業が行われている.しかしながら,アマモ場造成適地である沿岸浅海域は,埋立地や港湾施設として利用されているため,新たな適地選定が求められている.香川県さぬき市津田湾では,1996年に離岸堤背後域へアマモ場造成が実施されて以降,アマモ生育場が拡大していることから,新たなアマモ場造成地として離岸堤背後域の活用が期待されている.本研究では,当該海域のアマモの観測結果および数値計算により,アマモ場の生育維持機能を評価し,海岸構造物を利用したアマモ場造成技術を検討した.その結果,離岸堤背後が好適なアマモの生育環境であることが判明した.一方,離岸堤背後で形成される静穏域が,アマモの生育阻害要因の発生に寄与することも明らかとなった.