2012 年 68 巻 2 号 p. I_138-I_143
津波災害における人的被害の軽減のためには迅速な避難が必要であることは言うまでもない.本研究では2010年2月に発表された沖縄本島近海およびチリ中部沿岸地震に伴う2つの津波警報に対して,沿岸域の住民の避難行動に関する調査を行った.津波警報の認知が避難のためには必要な条件であり,その上で,海から離れるに従って避難をしなくなること,事前の防災対策が多い人の方が避難率が高いこと,遠地津波においては,行政からの連絡だけではなく,友人・知人から声を掛けられる事によって避難率が高まることを示した.さらに,居所の町丁目が海に面しているかいないかによって避難有無に影響を及ぼしていることも明らかにした.