抄録
地震調査研究推進本部によると,東海・東南海・南海地震が同時発生した場合には,マグニチュードMwは8.7になると推定されている.本研究では,中央防災会議(2003)の想定津波波源域を用い,三連動地震の影響地域のうち,和歌山県を対象地域として,すべり量を変化させて想定を超えた場合に浸水深や浸水範囲がどのように変化するかを,数値シミュレーションによって調べた.その結果,最大浸水面積の変化は場所に大きく依存し,県中部と南部では,Mwの変化にほぼ比例して増大するが,北部の和歌山市周辺では,標高の低い場所が多いために,Mwが大きくなると浸水範囲が急拡することがわかった.Mw9.0の場合の和歌山市周辺を除いて,浸水深と標高にはおおよそ反比例の関係がみられた.