2012 年 68 巻 2 号 p. I_216-I_221
遡上津波と胸壁からの反射波によるコンテナの流出現象を対象に数値解析を行い,海上へのコンテナの流出機構を考究するとともに海上への流出を防止する流出対策工の有効性を検討した.その結果,岸壁前面の水位,エプロン上の浸水深,コンテナの漂流挙動に関する水理実験結果との比較により解析結果の妥当性を確認した.また,コンテナの岸方向への漂流が止まったときに,コンテナが没水状態にあることで上昇速度が増加し,コンテナ周辺の水面が沖に向かって下がっていることでコンテナの上面が沖に向くように回転し始めることにより海上への流出が生じる可能性を示した.さらに,胸壁の近傍に設置した流出対策工には,コンテナが胸壁の近傍に達してからの沖方向への漂流を遅らせる効果があることから,コンテナの沖への流出が抑えられる可能性を示した.