2012 年 68 巻 2 号 p. I_228-I_233
津波を模擬した砕波段波による桁の移動現象を対象に数値解析を行い,桁に作用する水平方向の津波力と鉛直方向の津波力の両者の観点から桁の移動機構を考究した.その結果,桁に作用する段波の状況が桁下高により変化するために水平力と鉛直力の発生傾向が異なることを確認した.また,段波の条件が等しく津波力の発生傾向が等しい場合でも,桁の重量により桁の移動形態が異なることが判明した.桁に鉛直上向きの大きな力が作用することで水中重量を下回り,さらにそれに伴って静止摩擦力が低下することで桁が移動し始める現象を確認し,桁の移動限界を評価する際の鉛直力の重要性を明らかにした.桁の側面に段波が作用し,その作用とともに桁が移動し始める場合には,桁の側面の位置での水平流速により桁に作用する水平力を概ね評価できることを示した.