抄録
本研究は,構造物に空間形状を持たせることによる津波力への影響を解明するため,5種類の空間性を考慮した構造物模型に遡上津波を作用させる水理模型実験を行い,その影響を検討した.その結果から,構造物の下部に津波が通過できる空間を持つピロティ形式にすることで,津波力の大幅な低減効果が期待できることを明らかにした.また,ピロティ形式の1階部分に漂流物が停滞した場合には,津波力の低減効果が弱まることを確認し,漂流物対策の重要性を示した.さらに,構造物前面に作用する衝撃波圧分布は,構造物の前面形状のみに依存し,前面より背後の形状には依存しないことを解明した.そして,構造物前面の開口率に対して作用波力は非線形的に減少することから,作用波力は開口部の大きさだけでなく位置にも依存することを明らかにした.