抄録
東北地方太平洋沖地震による大津波は,多数の死者・行方不明者や家屋の倒壊など未曾有の災害を引き起こした.この直接的な原因の一つとして,リアス式湾における津波の増幅現象があげられる.従来,湾内へ侵入する津波高さを軽減するため,突堤形式の津波防波堤が湾口部などに建設されてきたが,今回の津波によって破壊されるなど,機能的な側面を含めて,その有効性が疑問視されようになっている.既に著者らは,港内係留船の長周期船体動揺の低減を目的として,港内へ浸入する超長周期波を制御するための港口部大型共振装置を提案し,その効果などについて明らかにしてきた.ここでは,より長波長の波を制御対象にできるように改良された,新形式の共振装置の有効性について検討すると共にそれから派生したより簡単な構造の装置の効果を大船渡湾を対象にして検討する.