抄録
浚渫による濁り影響予測計算は,広域的な範囲を対象としたものが主流であり,濁りの発生という素過程について直接的に取り扱われる例は少なく,類似した工種・仕様の事例に基づく汚濁発生源単位に基づくことが多い.環境負荷の軽減されたグラブや工法が登場する中,汚濁の発生自体を物理モデルで取り扱う手法への期待は大きい.本研究は,このための第一段階に取り組んだものであり,非格子を特徴としたSPH法を使用してグラブ形状,挙動を正確に再現することで,グラブ浚渫に伴う流れを清水のみを対象として確認し,汚濁発生機構に及ぼす影響について検討した.
既往の室内実験の再現計算を行ったところ,本手法は再現性が良いことが確認された.下降~掘削~上昇まで,グラブを一連の動作で計算することで,より現実的な流れの予測計算を行える可能性が示された.