抄録
浚渫窪地の埋め戻し工事を実施する際には,土砂投入に伴って誘起される流動によって,窪地内部の無酸素・硫化物水塊が周辺水域へと流出しないように配慮する必要がある.その対策のひとつとして,鉛直管を用いて土砂を投入するトレミー工法が採用されることがある.本研究では,鉛直管を用いた土砂投入に伴う流動および濁りの移動過程が計算できる数値モデルを開発した.開発したモデルを用いて,パラメトリック解析を行った結果,濁水塊の水平流速および水平運動量の抑制には土砂投入量による制御が,また,濁水塊の厚さの抑制にはクリアランスによる制御が有効であることが明らかになった.さらに,土砂堆積量の水平分布を検討した結果,水底を進行する濁水塊の流動に影響を及ぼすのは微細粒子であることがわかった.