土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.28
広島県因島に造成した製鋼スラグ潜堤材の生物着生特性の長期評価
宮田 康人松永 久宏薮田 和哉林 明夫山本 民次
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 68 巻 2 号 p. I_564-I_569

詳細
抄録
 塊状製鋼スラグの生物着生基盤機能の長期的検証を行うことを目的として,2002年3月に広島県因島の海域において造成した塊状製鋼スラグ潜堤材について,9年後(2011年)まで追跡調査を行った.その結果,製鋼スラグ潜堤材には,施工1年後から9年後の調査まで海藻の着生種数は,天然転石と同等もしくは同等以上であり,また時間とともに種類数が増加傾向であったこと,魚類,メガロベントス,マクロベントスが天然転石と同程度に着生したほか,絶滅危惧種として隣県の岡山県レッドデータブックに掲載されているマクロベントスも観察されるなどの知見が得られた.以上の結果から,製鋼スラグ潜堤材は,海藻着生場,底生生物生息場,および魚類の蝟集の場などとして施工から9年間にわたり機能が継続していることから,製鋼スラグ潜堤材の有用性が確認された.
著者関連情報
© 2012 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top