抄録
衛星リモートセンシングによる有義波高の測定においては,水位と水面勾配の結合確率分布が用いられ,従来の手法では観測域の水位分布をGauss分布に従うものと仮定している.しかしながら,波の非線形性の影響が強い場合は,この仮定は成立しない.波の非線形性により変化するskewnessやkurtosisを考慮した分布推定法としてGram-Charlier級数を用いる方法があるが,この方法では確率密度の値が負となる欠点がある.本研究では,波の非線形性とskewnessやkurtosisとの関係について考察し,それらを考慮したGram-Charlier級数に代わる新たな結合確率分布推定法を提案する.実測値や従来法との比較から,本手法は分布の歪みを適切に表し,実測値と比較的良好なる一致を示すことが見出された.