抄録
多くの港湾で長周期波による荷役障害が問題となっている.対策の一つとして,防波堤背面に設置されるマウンド構造物が提案されているが,既存断面の構造物幅は30m以上であり,断面の小型化が求められている.本論文では,既存の干出型マウンド構造物よりも小型の長周期波対策工を提案する目的で,天端が静水面に位置する没水型断面の消波特性を水理模型実験により明らかにした.
没水型は干出型より長周期波の反射率を低減でき,特に消波ブロック二層被覆形式はその効果が安定的であった.例えば水深10m,周期60秒の条件において,干出型の構造物幅30mの場合と同等の反射率となる没水型の所要構造物幅を計算すると,約16mとなった.これにより,工費の縮減および水域の狭隘な中小港湾への適用性の向上が実現するものと思われる.