2012 年 68 巻 2 号 p. I_858-I_863
地球温暖化により,これまで以上に強大な台風の来襲が懸念されており,それによる高潮災害に対する適応策を考える上では,より精度の高い高潮推算が望まれている.本研究では,可変格子を設定でき,複雑な海岸線を表現できる非構造格子を用いた海洋流動モデルFVCOMを高潮推算に適用し,その有用性を検討した.FVCOMの高潮推算への適用にあたって,まず,オリジナルのFVCOMでは考慮されていない気圧場を取り込めるようにモデルを改良した.ついで,対象領域である有明海・八代海での適切な計算領域および格子幅の検討を行った.推算結果と観測値および代表的な構造格子モデルであるPOMによる計算結果との比較から,高潮推算におけるFVCOMの有用性が確認された.