2012 年 68 巻 2 号 p. I_941-I_946
東京湾と伊勢湾を対象として1961~2005年の45年間における強い台風や低気圧に伴うそれぞれ100ケース前後のストームに対して浅海波浪推算を実施した.入力条件とする海上風分布は両湾の周辺に位置する陸上気象官署において取得された観測風(SDP風)資料と湾内・湾岸の観測風資料の相関を利用して推定している。極値解析には母数の推定を最小2乗法によるモデルを用い,候補分布をGumbel分布,Weibull分布,FT-II型分布として50年確率波高等を推定した.複数地点の波高の推算結果と観測結果の比較は,ストーム時の時系列のみならずピーク値,さらに50年確率波高について両者の対応が全般的に良好であることを示した.50年確率波高は東京湾では広い範囲で3mをとり,最大4mに達する.伊勢湾では広範に4m域を形成し,最大5.5mに上る.