2012 年 68 巻 2 号 p. I_953-I_958
海運分野で開発された気象・海象条件から最適経路を探索するウェザールーティングを海洋工事に適用した運航シミュレーション技術を開発した.本技術は,船舶位置情報,気象・海象情報,船舶数,運搬量,船速,航行可能限界波高および風速,避泊地,積込・積下の作業時間および作業の開始・終了時刻を考慮した上で,最適経路を探索し,運航計画の最適化を可能にするものである.経路探索の際には,あらかじめ候補となりうる経路をデータベース化しておくメモリー型アルゴリズムと言うべき手法を採用することで,経路探索にかかる所要時間の短縮を達成した.ケーススタディから,本技術を用いることで,最も効率的な船団の計画,経験的判断に依存した運航を行った場合と比較して運搬増量の確保,および稼働率の季節変動の見積もりが可能になることが分かった.