2012 年 68 巻 2 号 p. I_995-I_1000
IPCCの報告書は平均海面上昇や台風強大化の可能性を指摘しており,海岸保全施設の計画・設計・維持管理にそれを考慮する具体的方法の検討が必要である.本論文では,現行の設計潮位・設計沖波の考え方を生起確率という観点で述べる.その上で,過去・将来の潮位・波浪の変動について得られている科学的知見を整理するとともに,現在の設計潮位・設計沖波に対応する将来の各年の潮位・沖波(目標潮位・目標沖波)を設定する方法を例示する.設計潮位・設計沖波には設計供用期間中のある年の目標潮位・目標沖波を用いることになり,その年の設定についても若干の考察を加える.また,レベル2高潮潮位の設定や現地観測の継続の必要性についても述べる.