2012 年 68 巻 2 号 p. I_989-I_994
日本沿岸域については温暖化に伴う海水面の上昇に加え,台風の強大化に伴う高波,高潮災害の甚大化が懸念されている.本研究では温暖化の影響が先行すると予想される九州沿岸の災害外力の変化特性について,温暖化を考慮した将来の気候予測値(MRI-AGCM3.2S)に基づき検討を行った.その結果,日本に接近する台風の数は現在よりも減少するものの,強大な台風の個数は増える結果となっていることが確認された.また,風データを基にした波浪推算の結果,常時波浪を含む全データを対象とした比較では波高,波向ともに現在との差はみられないこと,年最大波高について比較すると平均値や中央値では同程度であるものの,最大波高の小さい年と大きい年の差が大きくなる傾向にあり,発生しうる最大波高は将来で大きくなることがうかがえた.