2013 年 69 巻 2 号 p. I_1012-I_1017
千葉県習志野市の住宅街に存在する潟湖干潟である谷津干潟全体の熱緩和効果を検討することを目的とし,夏季においてシンチロメータによる顕熱フラックスの集中観測を実施した.その結果,谷津干潟全体の顕熱フラックスは日中で最大83Wm-2,1日積算では1.26MJm-2day-1であった.都市住宅街の平均顕熱放出量(9.02MJm-2day-1)と比べて小さいことから,谷津干潟は住宅街において熱緩和効果を持つことが示唆された.また,干潟内の点計測による顕熱放出量との比較から,水深の浅い場所(2.57MJm-2day-1)に比べて水深の深い部分を含む干潟全体では顕熱の放出はより抑制されており,熱緩和効果は谷津干潟の水位に強く依存していることがわかった.