2013 年 69 巻 2 号 p. I_1198-I_1203
本論文は,東京湾では過去95年(1911~2005年)の間の12ケースの巨大台風,伊勢湾では過去85年(1921~2005年)の間の16ケースの巨大台風に対する浅海波浪推算を実施し,個々の台風時最大(有義)波高の空間分布特性を議論したものである.入力条件とした海上風分布は対象海域周辺の陸上気象官署で取得されたSDP風の沿岸・海上風観測風への変換とそれらの空間補間による.湾外の波高の最大値は東京湾では沖合の10mから湾口の4mに,伊勢湾では15mから7~8mに減少する.湾内の最大波高の分布は2つのパターンに大別される.1つは波高が湾口から湾奥に向けて増大し,東京湾では4m強,伊勢湾では6.5mに達する.他の1つは逆の傾向をもち,いずれの湾でも湾口で4m強をとる.この差は個々の台風の経路に起因する.