2013 年 69 巻 2 号 p. I_1192-I_1197
海岸・海洋構造物に働く氷圧力の寸法依存性は氷圧力Pと貫入面積Aの関係で示され、この説明には幾つかのアプローチがある。その一つにPalmer and Sanderson(1991)のフラクタル理論を適用した明快な説明があるが、この場合に必要とされる海氷の圧縮破壊時のフラクタル次元Dに関しては、系統だったデータの取得が不可欠である。本研究では、海氷圧縮破壊時の氷破片のフラクタル次元Dに関する室内試験を試み、フラクタル次元Dに対するフラクタル性、氷温、密度、および結晶構造の影響を検討した。海氷の圧縮破壊時の氷破片にはフラクタル性があること、結晶構造の違いや密度には影響をあまり受けないこと、氷温の影響が僅かにあること、さらにDは2.16から2.39の範囲内にあったことなどを報告した。