2013 年 69 巻 2 号 p. I_287-I_292
津波避難ビル等の構造物とその海側に別の構造物が立地する状況に津波を作用させた3次元数値解析を行い,沿岸構造物の配置が陸側構造物に作用する津波力に与える影響を考究した.その結果,陸側構造物に作用する最大波圧の鉛直分布は静水圧に近い勾配を有するが,陸側構造物がない場合に対する浸水深の増幅率は沿岸構造物の配置の影響を強く受けることから,既往の算定式を上回る場合があることを確認し,沿岸構造物を考慮した解析を行い波圧を算定することの重要性を示した.また,陸側構造物に作用する津波力を効果的に低減できる沿岸構造物の配置が存在することを確認し,沿岸と陸側の構造物の距離が異なることによる津波力の変化は,沿岸構造物の間隔が等しい条件では,陸側構造物がない状態における運動量の変化量で概ね把握できることを示した.