抄録
本研究では,領域区分内にGutenberg-Richter則を適用して,地震規模毎の発生再現期間を推定している.領域区分は,日本列島およびその周辺海域の地形地質および構造線を考慮して,5つの領域に分けられている.日本海東縁部では,M=7.5で再現期間RがR=284年,M=7.8でR=531年と推定された.また,領域毎の長期的な地震発生確率の評価も行われている.しかしながら,比較的大きな地震(M>7.0)の発生に関しては領域間で有意な相関が認められたことから,ある領域で大きな地震が発生した場合には,他の領域の地震発生確率が高くなることが示唆された.さらに,歴史地震による津波規模を精度よく推定するために,津波遡上高の1/2倍および1/3倍の津波高さから,阿部による津波マグニチュードMtの関係式を用いて,津波マグニチュードMtを算定したところ,精度の高い推定ができることが示された.