2013 年 69 巻 2 号 p. I_604-I_609
我が国は,北海道,本州,四国,九州,沖縄本島のほか,海上に展開する6800を超える離島で構成されている.外洋海域に数多く存在する離島は国土権益の維持,海洋環境の保全,水産・海洋資源開発の拠点として大変重要である.本研究では,航路により提供される離島,特に有人離島のネットワークに着目し,グラフ理論にもとづくネットワークの評価指標を用いて離島の社会環境の分析を試みた.分析対象とした鹿児島県,長崎県,沖縄県および東京都の海域について,提案した3つの要素によって各海域の諸島群を構成する各島の特徴,ネットワークの中での主島,属島,孤島などの特性,排他的経済水域の根拠となる低潮線基点とネットワークとの関係が明らかとなった.こうした指標は,様々な社会的要因によっても変動することから,外洋離島のみならず内海離島のネットワークおよび環境の変化や歴史的変遷を分析する上でも有効なものと考えられる.