2013 年 69 巻 2 号 p. I_61-I_66
原油高騰や経済危機などもあり,船舶の運航時にコスト最適化が死活問題となっている.外洋を航行する場合,波浪による船体運動などの側面から気象海象の情報をいかに正確に反映・活用するが問われている.本研究では,日本近海および遠洋海域の船舶運航者を対象に広範囲な調査を実施し,船舶運航者から見た波浪予報の利用実態と現状での信頼性,問題点をある程度明らかとした.さらに東日本の太平洋側を航行する船舶の事例から低気圧が日本近海にて発達したときの波浪予報が的中しなかったパターンを整理し,日本南岸から北東進しながら急発達する低気圧の波浪パターンが予報困難であったことをデータも交えて2例明らかとした.一方,当時の波浪データから極大波への遭遇は見られず,統計的に特異な波浪によるというよりも局所的に卓越する低気圧による風や波浪を高解像度で予報する必要性を明らかとした.