2013 年 69 巻 2 号 p. I_622-I_627
船舶の航海において,海上交通の安全性確保を図ることを目的に,様々な海事法規が規定されている.特に,沿岸海域で,船舶の輻輳度が高く,狭隘な海域である東京湾,伊勢湾,大阪湾及び瀬戸内海等は,航行船舶が過密状態となり,衝突及び乗揚等の海難発生の危険性が高い.その中でも,港に入出港の際,操船者の緊張感が高まり,最も危険度が高くなる.
港の中でも特定港では,港内における船舶交通の安全及び港内の整頓を図る目的で,港則法で「特定港に出入りし,又は特定港を通過するには,国土交通省の定める航路によらなければいけない.」と制定されている.
本研究の目的は,入出港時の船舶が港則法に定められた航路を正しく航行しているかの実態調査を,AISデータを用いて行うことである.このような詳細な調査はこれまで実施されてこなかった.調査結果より,今後,法規制の遵守の徹底,指導及び改良点等を検討する上での情報提供を処する.