抄録
NOWPHASのGPS波浪計と沿岸波浪計の観測データを用い,年や月単位で20分平均波パワーの累積分布曲線や統計量を求め,波パワーの海域特性や季節変化,年変動を調べた.その結果,20分平均波パワーが年・月の平均値を超える確率が20~40%であり,20分平均と日平均のどちらの波パワーで統計するかによって年・月の最大値や最小値は倍半分も違うことが明らかになった.波パワーの年変動は大きく,平年値をある程度正確に求めるためには多年のデータが必要である.東北地方の太平洋沿岸と日本海沿岸のGPS波浪群では,波パワーの平均値も中央波向もほぼ一様である.沿岸波浪計の波パワーはGPS波浪計より小さく,取り囲む地形の影響で地点間の違いも顕著である.さらに本研究では,波浪推算による欠測期間の補完も試みた.