2013 年 69 巻 2 号 p. I_79-I_84
津波来襲時,荷役作業中の船舶や船員不在の船舶などは,緊急離桟し,安全な海域に避航できない可能性がある.そのような場合,岸壁に係留された船舶は,岸壁に係留されたまま係留索の破断や岸壁への乗り揚がり,他船や陸域の建築物などとの衝突といった津波の脅威に備えなければならない.岸壁に係留された船舶の津波対策の一つとして,増しもやい対策が考えられる.本研究では,3次元MPS法プログラムを用いて3,000DWTの船舶を一例として津波高と津波の入射角度の違いが係留索の破断に与える影響について検討を行い,係留索破断チャートを作成した.そして,その係留索破断チャートを基に,係留索の本数を増やすことによる増しもやい対策が係留索の破断に与える影響について数値シミュレーションを行い,増しもやい対策の有効性や課題点について検討を行った.