土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.29
石炭灰造粒物の海底被覆による中・長期的な海域環境改善効果
玉井 和久小畑 健二芳倉 勝治日比野 忠史首藤 啓山本 裕規三戸 勇吾
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2013 年 69 巻 2 号 p. I_892-I_897

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抄録

 石炭灰造粒物による海底被覆手法の効果を検証するための実証試験を実施し,約2年半のモニタリングを行った.有効被覆層間隙中への有機泥の捕捉により,施工から2年半が経過した時点でも被覆層上への有機泥の堆積層厚は2cm前後と,同湾の堆積速度の約半分となっており,有機泥の再堆積による効果減衰を抑制する機能が示された.また,硫化水素や栄養塩類の化学的な除去や底層DOの上昇などの効果も継続していることが示された.底生生物の現存量は試験後に増加しており,日和見的な小型種から長寿命の大型種へ遷移しつつあると考えられた.被覆層の間隙構造や硫化水素の化学的除去などの本手法に特有の物理的・化学的な効果は,3年以上は継続して得られ,底生生態系の回復が促されることで,長期的に環境改善への正のスパイラルを導くことが期待される.

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© 2013 公益社団法人 土木学会
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