2013 年 69 巻 2 号 p. I_940-I_945
東京湾内に造られた人工海浜のいなげの浜と幕張の浜は,互いにわずか5km離れているのみであるにもかかわらず,沿岸漂砂の卓越方向が反転する現象が見られた.この現象を解明するために,これらの人工海浜について空中写真により汀線変化を調べるとともに,2012年8月17日には海浜縦断測量と海浜構成材料のサンプリング調査を行った.その上でSMB法による波浪推算を行い,いなげの浜と幕張の浜での年間の沿岸漂砂量を推算した.この結果,いなげの浜で卓越方向が南東向きとなった理由として,沖地形による屈折の影響が大きいことが分かった.