抄録
浚渫土を処分して形成された沿岸域の埋立地盤の中には,透水係数の大きい中間砂層が存在していることが多い.こうした埋立地盤を真空圧密で改良すると,中間砂層を通じて埋立地外の水を多量に吸引し,圧密改良効果そのものが著しく低減するのではないか,という懸念がある.そこで,中間砂層からの吸引水がある場合を想定して,粘土地盤の真空圧密効果を室内実験で明らかにすることを試みた.実験は中間砂層からの吸引水量をPBD1本あたり2ℓ/minと設定し,吸引水量がある場合とない場合の圧密実験を実施した.両者の沈下曲線を比較すると,大きな差がないことから,2ℓ/minの吸引水量が圧密へ及ぼす影響は小さいことが明らかとなった.また,PBDの許容通水量についても,負圧作用時の吸水試験の結果を基に考察した.